インド・バラナシといえば、聖なる大河「ガンジス川」だ。
そしてそのガンジス川の河原には、火葬場があり、青空の下、遺体が焼かれるという話を聞いた。にわかには信じがたいが、本当なのだろうか?
バラナシと言えば、あの有名なガンジス川が流れている。ガンジス川と同じくらい有名なのが火葬場で、毎日何十、何百という遺体がバラナシの細い路地を抜け、川のほとりの火葬場に担ぎ込まれる。
そして担ぎ込まれた遺体は、家族や観光客の多くが見守る中、灰になる。
火葬場といっても、日本のように重々しく、じっとりとしたものではない。ただ青空の下に、丸太を並べ、その上に棺を置き、火を点けるだけの原始的な火葬法だ。
だからもちろんその場に行けば、人が燃えているところを目の当たりにすることになる。
僕が火葬場に着くと、既に多くの人だかりがあった。人の焼ける匂いが辺りに立ち込めている。
人々は悲しみ、絶望、驚き、興味、様々な感情を抱きながら、その光景を見つめていた。
でも僕は長くはその場にはいたいと思わなかった。インドの人は自分の家族が火葬されるところを多くの見知らぬ人に見られ、何を思うのだろうか。もし僕が同じ立場だとしたら多分良い気はしない。
大切な人の最後の姿をアトラクションか見世物のようにされたら、嫌だ。でもインド人の考え方は違うのかもしれない。最期をたくさんの人に見られ、葬られるのが、彼らの幸せなのかもしれない。
そんなことを考えながら、足早に宿に戻った。
今まで見たこともないものを見たショックからか、余りに大きすぎる文化の違いからか少し休憩をしたいと思った。宿のベッドで横になり、目を閉じると、火葬場で見た真っ赤に燃える人の足が目に浮かぶ。少し睡眠した後は、写真を撮りに出かけた。
他のインドの地域と同じく、路地には牛がいる。ちなみにこの牛たちは誰かの所有物らしく、夜になると持ち主の家に帰るそうだ。
牛を扱う練習だろうか。こんな小さな頃からもう将来の仕事は決まっているのだろう。
この人はカメラを構えるとインド式の敬礼をしてくれた。これまでどんな人生を歩んで来たのだろうか。
ムスリムの少年は凛々しいポーズをしてくれる。
バラナシの子達は写真に写るのが大好きだ。
はじめはぎこちない笑顔だった少女も、「スマイル」という一言だけで、こんな素晴らしい笑顔を見せてくれた。
仕事に疲れた時は、またこの場所に来てみたいなあ。でも多分、もっと疲れて帰ってくるだろうな(笑)

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